もう、キスだけじゃ足んない。


「お兄ちゃーん!」

「なにしてるのー?」


「まどか!?せとかも!?」


満面の笑みでこっちに走ってくるふたりの女の子。


1人はピンクのワンピース、もう1人は色違いのオレンジのワンピース。

頭には同じ麦わら帽子をかぶってて。


この子たち……。


「双子ちゃん?」


顔が瓜二つでそっくり。

遥たちもうちも二卵生だから、そこまでは似てないんだけど、この子たちはきっと一卵性なんだと思う。

顔の一つ一つのパーツがそっくりだ。


「もう帰ってきたのか?」

「うんっ!お出かけ楽しかったよ!」

「新しいお洋服も買ってもらったの!」


お兄ちゃん、お兄ちゃん、なんてふたりが伊予くんの手をとって、キラキラした笑顔で話しかける。


伊予くん、いつの間にお兄ちゃんになったんだ。


せとかちゃんと、まどかちゃん。

伊予くん、かわいくて仕方ないだろうなぁ……。


しかもせとかちゃん……うちのお母さんと同じ名前だ……。

なんて思ってたら、ふたりは目をまん丸にして遥を見て。


「んんん!?あー!」


「テレビで見たことあるお兄ちゃんいる!
えっと、えっとね、たしか、はるかくん!」


「ほんとだー!
はるかくんだー!」


「「かっこいい〜!!」」


あ、遥のこと、知ってるんだ。

すると、目をキラキラにするふたりの前にしゃがみこんだ遥は、目線を合わせて。


「伊予の妹?」

「うんっ、ふたごなんだよ!」

「まどかと、せとかっていうんだよ!」

「そっか」


優しく笑って、ふたりの頭をポンポンする。
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