もう、キスだけじゃ足んない。

【遥side】


天使がいる。


「ここをねっ、こうするんだよ?」

「こう?」

「うんっ、くるみちゃん、あっちにもいっぱい咲いてるよ!」

「まどかちゃん、走ったら危ないよ!
せとかちゃん、あっち行こうか?」

「うんっ!」


「あぁ……胡桃が妹に……」

「だれ目線で話してんの、おまえは」


それから公園にやってきた俺たち。

どうやら胡桃の優しい雰囲気が気に入ったふたりは、ずっと胡桃のそばにいて。


地面に絵かいたり、いっしょにブランコに乗ったりして。


見てるだけでいやされる……。

ってことで、伊予と俺は日陰で休むことにした。


「いくつ離れてんの?」

「今、年長だから7つ」


7歳か……結構離れてんだな。


「遥!」

「どうした?」

「見てみて!ふたりががんばって作ってくれたんだけど、すごくない?」


胡桃の頭に乗っているのは、シロツメクサのかんむり。

この公園は、シロツメクサとクローバーが一面に咲いてて。

その真ん中で「遥!」って俺のほう向いて、俺の名前を呼んで、笑ってくれる。


「かわいすぎ……」

「だよね!このかんむり、めちゃくちゃかわいいよね!」


「ばか。そっちじゃねーよ」

「えー?」


はぁ……もう。

笑って首をかしげる鈍感な姿もめちゃくちゃかわいい。
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