もう、キスだけじゃ足んない。


いい歳して、男子高校生に真っ赤になるおばあちゃんとか見たくない……。


大好きなおじいちゃんは?

おじいちゃん、そんなおばあちゃんの姿見たらきっと泣いちゃうよ?


「ありがとうございます……」


分からなくもないけど、遥も照れないで……。


「おわびにっちゃなんだけど、少しは涼しくなるかと思ってかき氷作ったの」


麦茶といっしょに持ってきてくれたのは、とれたぶどうで作った、おばあちゃん特製シロップがかかったかき氷。


「おいしそう……」

「ありがとうございます、紅さん」


やっだーもう!紅さんだなんて!

おばあちゃん……女子になってるよ、女子に。


おばあちゃんからお母さん、そして桃華。

ほんと、橘家の女子ーズはテンション高い人ばっかりだ。


「食べたらそのまま部屋の外に置いておいてくれていいからね。明日片づけるから」


「うん」

「はい」


そしておばあちゃんは、そのままふすまを閉めようとしたけれど。


「あ」

「ん?」


「朝までここにはぜったい近寄らないから、安心してね」


バチコーンと音がつきそうなくらいの、華麗なウインク。


「っ、だから、なにいってるのおばあちゃん!」



もう、ほんとはずかしい……。
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