もう、キスだけじゃ足んない。


「ごめんね、遥……」

「いや、ぜんぜん。
相変わらずおもしろいな、紅さん」


どっと疲れた顔の私に、遥はクスッと笑う。

ならいいんだけど……。


「ん〜!おいし〜!」


それからおばあちゃんの持ってきたかき氷を食べてたら。

じーっ……。


「……」


じーっ……。


近いんだけど……。

めちゃくちゃ視線感じるんだけど……。


食べづらい……。


「は、遥も食べたら?」

「食べるよ。あとで」

「あとで?」


「胡桃を食べたあとで」


「はっ!?……んっ、」


驚く暇もなく、すぐにやわく唇を食まれる。


「ついてた。ほんっとかわいいな」


「なっ、なんで口……っ」

「んー、おいしそうだったから」


なんて、ペロッと唇をなめる。


っ……ぜったい、わかっててやってる。

自分がいかにかっこいいか分かってて、わざと。

ほんとについてたの?って言いたくなる。


「な、せっかく紅さんが気使ってくれたしさ、」

「なに?」


「しようか」

「なにを?」


「胡桃がとろとろになるまでキス」


「はあ!?」


急になに!?


「一回してみたかったんだよな。
どんだけキスしたら胡桃が理性手放すまでになるか」

「なっ、なに言ってんの……?」


正気……?


「正気だよ。
てか、さっきも言ったじゃん」


俺の愛情でとけそうになるくらいまで愛してあげるから、覚悟しててって。


「だ、だからって、今!?」

「今。かわいい彼女にキスするのに、時間なんか関係なくない?」

「おばあちゃんいるよ!?」


声、聞こえちゃう……っ。
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