もう、キスだけじゃ足んない。



「大丈夫。つか、そんな声出すくらい、乱れてくれんの」

「っ、なっ、ちがっ……」


そういうことじゃなくて!

クスッと笑う遥にぶわっと顔が熱くなる。


だっ、だって遥にふれられたら、声とか我慢できなくなっちゃうんだもん……。


「っ……だから、急にデレんのやめろって」

「は?」


「反則だって。かわいすぎて」

「っ、え?え?」

「こんなん我慢とか無理だから。
声はずかしいなら、俺がずっと塞いどいてあげる」

「っ、あ……ちょっ、まって、」


だからキスしたら出るって言ってるのに……!


「それ、むしろしてって言ってるようなもんだから」


グッと腰に手が回って、いつもよりどこか余裕なさげな瞳が近づいたとき。


ブーッブーッー……。


「……」

「……」


また、ですか……。


「……清見さん?」

「いや、胡桃のスマホだと思う……」


「ちょっとごめん……」
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