もう、キスだけじゃ足んない。
「そ、そんなの……っ」
『遥だって……』
ん?
『遥だって、まどかちゃんたちにかわいいって言ってた……っ』
『キスだってされて……』
え?
「胡桃?」
どこか拗ねたような、心の声。
まさか、胡桃……。
「嫉妬、してくれたの?伊予の妹たちに」
「っ……」
顔が見たくて、掬いあげるようにあごを持ち上げれば、ぎゅっと唇を噛みしめたままの表情は、ますます赤く染まってて。
ドクン……。
ずくりと体の奥底が揺れた気がして、慌てて思考をクリアにする。
そう、たしかあのとき。
俺がふたりの頭なでてるとき、胡桃心の中で言ってたっけ。
『遥が女の子に笑いかけてるの、なんか新鮮……。
相手は一回りも離れた幼稚園の子なのに……』
「っ……胡桃……っ!」
「きゃあ!?なに!?」
『どうしたの!?』
「……俺ばっかだと思ってた」
「え?」
「俺ばっか、胡桃を好きなんだと思ってた」
『え?え?』
抱きついた拍子に思わず押し倒してしまったけど、離れたくなくて上に乗っかったまま抱きしめる。
「はるか……?」
「胡桃……どれだけ俺のこと好きなの」