もう、キスだけじゃ足んない。


「で、でも待って、」

「待たない」


つか、もう俺が限界。

改めて胡桃の気持ち聞けて、こんなかわいい姿見せられて。

我慢とか、むり。


「おねがいっ、」

『ちょっと、待って……!!」


「なに、どうしたの?」


もしかして俺にキスされるのいやになった?

一抹の不安を抱えて胡桃を見れば、ふいっと視線を逸らして、顔を真っ赤にして、小さい声で。


「かき氷……」

「え?」


かき氷?

ああ、紅さんが持ってきてくれたやつか。


それがどうしたの?


きっと顔に出てたんだと思う。

そういう顔をすれば。


「かき氷食べてからなら、いっぱいしていいから……」

「は?」


『というか……私がしてほしい、から』

「だから今は、待って……」


「胡桃……!!」

「もう、人の話聞いてた!?」


ほんと、かわいすぎだっつーの。

もちろん、またガバッと抱きついてしまったのは言うまでもない。
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