もう、キスだけじゃ足んない。
「っ……は、胡桃、」
ふれるだけのキスは一瞬。
すぐに熱い舌がすべりこんできて、絡めとられて、深く唇が重なる。
「はる、か……っ」
もっと、もっと、して……。
「ん、もっと、もっとしてあげる。
胡桃が満足するまでいっぱいしてあげる」
「好きだよ……たくさん気持ちよくなろうな」
心の声が聞こえない分、声で、唇で、遥が愛を伝えてくれる。
「ふっ……ぁ、」
「は……、かわいい、すっげーかわいい」
「っ、んっ……」
覆いかぶさられて、手を強く握られただけじゃなくて。
「っ……は、胡桃、すっげー俺のものって感じする……」
俺にふれられて、こんなとろとろになってるだけじゃなくて。俺のあげた香水までつけてたら、
「理性ぶっとぶ。
めちゃくちゃにしたくなる」
そう言って、またキスに激しさが増すばかり。
「っ、ぅ……あっ、」
「ここも……ここも、たくさんかわいがってあげる」
ぎゅっと手に力が込められたまま、唇が下へ下へと落ちていく。
心臓が波打ってる。
気持ちいい、が、とまらない。
あつい……とけ、そう……っ。
「寒いって言ってたのに。
もうこんな、体あつくしちゃって……」
きっと、心の声が聞こえたんだと思う。
「っ、ん……っ」
ちゅっと鎖骨あたりに赤い花を散らせていた遥の唇が、汗で張りついた前髪をかき分けて、おでこに降ってくる。
「体調わるくない?」
「大、丈夫……」
「ん。でも、ほんとにやばかったら我慢しないですぐに言って。声出なそうだったら、心の声でもいいし」
ちゃんと、ぜんぶ聞こえてるから。
「うん……」
「よし。じゃ、ちょっと待ってて」
そう言って私の頭をひとなでして体を起こすと、なにかを手にとった。
麦茶……?
月明かりだけの部屋の中、うっすら見えたのは氷が入ったコップ。
でもそこに麦茶は入ってなくて……。