もう、キスだけじゃ足んない。
「目とろんてしてる。かわいい……もう一回キスしよっか」
すぐそばにコップをおいた遥の手が伸びてくる。
「ん……」
冷たいコップをさわっていたせいか、ゆっくり頬をなでてくる手が、火照った体に気持ちいい。
もっと……。
「もっと……さわって、」
遥の手、冷たい……気持ちいい。
「っ……」
……?
目を閉じていたら、急に遥の手がぴたりと止まって、ゆっくり目をあける。
「はる、か……?」
歪んだ視界の中で。
「なんでもない……ちょっと、冷たくなるよ」
とけそうなほど優しく細められていた瞳が、グッと鋭くなった気がした。
「えっ、な、に……っ、ひゃあ!?」
「かわいー声……もっと聞かせて」
「や……っ」
鎖骨から胸元にかけて。
「っ……は、つめたい?」
熱で浮かされたその瞳に夢中になって、気づかなかった。
遥が口にくわえていたもの。
「氷。けど、胡桃の体、めちゃくちゃあついからすぐにとけちゃうな」
「っ、ぅ……あっ、」
体の上をすべる小さな氷。
でもそれはすぐに水になるから、その度に遥がそこに口づけて。