もう、キスだけじゃ足んない。


「なんならもっとしてくれていいよ」

「は!?」


それだけ俺のこと好きって思えるし、愛されてるなって実感できるから。


「けどそもそも俺、胡桃以外の女子で話すの桃華と天草しかいないから、もし嫌ならふたりとも話さないようにしようか?」


「さ、さすがにそれはいいです……」

『遥……そんなこと思ってたの?』


そうだよ。
胡桃のことになると必死なんだよ、俺。


bondの弓削遥、じゃない。


胡桃の前では幼なじみで、彼氏の弓削遥。

彼女のことで一喜一憂するただの男だよ。


だからこそ。

やっと手に入れたこの幸せを、死んでも手放したくない。

ケンカとかそんな小さなすれ違いなんかで、絶対。


つーか、そもそもケンカもしたくない。


ずっとずっと隣で笑っていてほしい。


「えっと……遥」

「ん、なに?」


「その……ありがとう?」

「どういたしまして」


どこか安心したように笑う胡桃。


あー……かわいい。

今日休まなくてよかった。


胡桃の新しい一面知れたし、

学校来てこんなに喜んだの、人生で初かもしんない。
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