もう、キスだけじゃ足んない。
こっちばっか見てないで、ちゃんと課題やってよ、遥……。
顔をあげるたびに目合うし、なんならキャンバスに向かってても視線ビシバシ感じるし。
なにがはずかしいって、
その目が「好き」とか「かわいい」って言ってること。
今日の朝来たときも、何人もの女の子が
「遥くんきたよ!今日もかっこいい!!」
「ほんといつ見てもイケメン……」
とか、いろいろ言ってるの聞こえてたのに。
前に遥がみんなの前で、彼女宣言したせいか、話しかけてくる子はいなかったけど……。
でも実際、学年関係なしに囁かれてるのは事実。
なのに遥は一切興味ないって感じで、見向きもしなくて。
ずっと。
もうずっと私を優しい色をした目で見つめて、ほほえんで。
遥の特別なんだって思えるから、すごくすごくうれしい。
『遥』
ん?
やっと真面目にキャンバスに向かい始めたらしい。
私の心の声に、そっと顔をあげた遥。