もう、キスだけじゃ足んない。



『私も好きだよ』

『遥はだれよりもかっこいいよ』


え?は?


『ぜんぶ好き』

「っ!!」

『優しいところも、ちょっといじわるなところも、私のことになると必死になってくれるところも』


遥の言葉を借りるなら……。


『遥が好きだよ。
すげえ好き』


「っ〜!!」


あっ、照れてる。


「っ……照れるだろ、こんなの……」


髪をクシャクシャっとして、うつむく遥。


『少しはわかった?
授業中に、心の声でいろいろ言われる気持ち。
うれしいけど、めちゃくちゃはずかしいんだから』

『お返しだよ』


プラス、にっこり笑ってそう言えば、今度こそ遥は片手で顔を覆ってしまって。


「胡桃」


『なに?』


て、た、し、て。


『あ、手?
手、出して?で、合ってる?』


うん。


鉛筆を置いて、ゆっくり遥へと手を伸ばせば。


ひ、る、や、す、み。


『昼休み?』


ゆっくり手の上に書かれた指文字。

昼休みが、どうかしたの?


か、く、ご、し、て、ろ、よ。


『覚悟してろよ!?』


うん。

照れていたはずの顔はどこへやら。

その顔は、もうまっすぐ私を見つめていて。


『ほどほどに、してください……』


ん?

ふっと笑ってコテンと首を曲げた遥。


昼休み……ごはん、食べれるかな。
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