もう、キスだけじゃ足んない。


「べ、べつに遠くなくない?」


「いや、どう見ても遠いだろ」


間、約4メートル近く。


「気のせいじゃない?」

「どこがだよ」


だってだって!!


昼休み、覚悟しろよ。

そんなこと言われて、ふつうでいられるわけないじゃん!

今にもなにかされるんじゃないかって、こっちはお昼どころじゃないんだよ!?


先生にはわるいけど、昼休みのことで頭がいっぱいで、こっちはずっとずっと必死になにも考えないようにしてたんだよ!?


だって隣の席だから!


考えてること、思ってること、ぜんぶ筒抜けだし、

声だけじゃなくて、思考もぜんぶ止めてたんだから!


なによりも今、心の声を聞かれたら……。

なんかもう、だめな気がする。


「離れたくないんだけど」


「うっ……」


「せっかくふたりきりで、一緒にいるのに。
昼もいっしょに食べれるって、めちゃくちゃ楽しみにしてたのに」


グサグサグサッ!!


ううっ……!


「わ、わかったよ……」

「ん、ありがとう」
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