もう、キスだけじゃ足んない。
「っ、はぁ……」
「ん……息、できてる?」
覚悟しろよ、なんて言われたから。
てっきり……。
「もっと深くて激しいのだと思った?」
「っ……」
「しねーよ?
だってここ学校だし、だれかに胡桃のかわいい声、聞かせたくないし」
「ふっ……ぁ、」
「けど、あんまり意味ないかな。
俺とキスすると、すぐにとろとろになっちゃうもんな?」
「っ……あ、ぅ、」
深いのは、あとで家帰ってたくさんしような?
唇がくっついたまま、ふっと笑う遥に、またじんっと体が熱くなる。
「俺さ、ケンカとかすれ違いとか、絶対にしたくないんだよ」
「っ、急に、なに……?」
「前の幼なじみのときなら、仲直りするだけで済むけど、付き合うってなったら、別れる、が選択肢に入ってくるから」
「う、ん……」
軽くふれるだけのキスをしただけ。
でも、遥のキスはふれるだけで何回も「好き」って言われてるみたいな感覚になるから、もう頭も体もいっぱいいっぱいで。
耳をかたむけるしか、できない。
「世の男の中には?
そりゃあ、彼女のこといじめて泣かせてから、存分に甘やかすのが好きって男もいると思う」
まあ、俺も前にやっちゃったことあるし。
「んっ、」
話している途中でも、遥のキスはとまらない。
唇にふれていたと思ったら。
「っ、ぁ……」
そのまま、太ももとか、背中とか。
体のラインをゆっくり手でなぞられて、その度に震える。
いくら制服越しって言っても、こんな密着してたら……。
「目、うるんでる。
ほんっとかわいい」
「っ……ぅ、あ、」
「とけそう?
そんな顔してる」
そっと頬をなでられて、ゆるりと細められた瞳から熱が滴っていく。