もう、キスだけじゃ足んない。


唇が離れたのは今でちょうど5回。

遥との深いキスは、すぐに頭がくらくらしちゃうから、これ以上は、もう……。


「なーに、言ってんの」

「え?」


ぐらりと歪む視界の中で、遥がにっこり笑った気がした。


「俺、正解って言った?」

「え……?」


ぼーっとする頭に喝を入れて、直前のことを思い出す。


私が好き、大好きって言って。

そしたら遥も俺もだよって言ってくれて……。


あれ……?

言われてみれば、たしかに遥。

正解って、言ってない……。


「……」

「……」


「わ、私、ちょっと用事が……」

「逃がすか」


「んぅ……っ」
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