もう、キスだけじゃ足んない。


「制服はいつもと同じだったけど、」

「髪乱れてたし、顔真っ赤だったし」


それは、バレる……。

それから今日はもうオフだというふたりと、少し話をすることにした。


「いやー、もうそんな関係になってたとは!
いっつの間にぃ!」


「ほんとにねえ。
俺たちが外に出てるときに、まさかそんな展開になるとは。いやー、びっくり」


「そ、そんな関係ってなに?
なんにもしてないから……!」


「そんな顔しといて?」


「うっ……」


勢いよく立ち上がった私に、またニヨニヨと笑うふたり。

もう……そのニヨニヨやめて!


「ふたり、順調そうでよかったよ。
また話聞かせて?」


「気が向いたらね」


「約束だよ?」


じゃ、俺先に帰って、桃華の住む部屋の準備してくるから。

そう言って隣へと戻った杏を見送って、私も夜ごはんの準備をはじめる。


「ほんっと、あの大人しい胡桃がねえ……」

「もう、やめてよ、桃華」


身内に知られるとか、こんなはずかしいことない。
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