英雄騎士様は呪われています。そして、記憶喪失中らしいです。溺愛の理由?記憶がないから誰にもわかりません。
こんな変なことする人はいません
不安のまま私はノクサス様からいただいたナイトドレスに着替えて眠りについていた。
そして、いつも通り、朝日が部屋に入り込み、それが朝の合図のように目を覚ます。
夕べは、荷造りをしていつもより少し遅くに眠りについた。
それでも、朝にはいつも通り目が覚めるなぁ、とゆっくりと瞼を開く。
そして、ギョッとした。
視界には、大きな手が転がっている。
心臓が止まりそうな程驚く。
腰の上にも大きな腕が乗せられている。
誰の手か分からずに、おそるおそる転がったまま後ろを振り向くと、ノクサス様が私を包み込むように眠っていた。
一体何故こんなことに!?
わけもわからずに感情のまま叫んだ。
「ノ、ノクサス様――――――!!」
その叫び声に気怠そうに、ノクサス様は目を閉じたまま返事をした。
「どうした? ……何かあったのか?」
「ありました!! ノクサス様です!!」
「俺がどうかしたか? それにしてもよく眠っていたな。疲れていたのか?」
そんなことはどうでもいい!
この状況に何の言い訳もする気がないのか、ノクサス様は落ち着いていた。
むしろ、背中に手を回して抱き寄せてきた。
「ノ、ノクサス様! とりあえず起きてください!」
「それはかまわないが……以前もこうして寝ていたか? よく眠れた」
「ありません!!」
赤くなる顔のまま、必死でノクサス様から離れようとした。
でも力では敵わない。記憶喪失中でもノクサス様の力はしっかりとしていた。
困る私に、やっと腕を緩めたかと思うと目の前で見つめられる。
「やはり、恋人だったのではないか?」
「違います! それはノクサス様の妄想です!!」
「おかしいな……」と真顔でノクサス様は言うけれど、おかしいのはノクサス様だ!
これでは、夜這いをされているのではないのか!? と頭の中が走っている感じだった。
ノクサス様の顔が見られずに、視線を落とすと薄いシャツの間から筋肉質な鎖骨が目の前にある。
どうしていいのかわからず、くらりと眩暈がしそうなまま、必死でノクサス様にお願いした。
「ノクサス様! 起きましょう!」
「ダリアは可愛いな……」
「違う! 起きて座ってください!!」
可愛いな、と髪に唇を埋めるように近づいてくる。
もう限界で、赤面したまま必死で叫んだ。
そして、2人で向かい合ってベッドの上に座る。
私とノクサス様の間には、境界線を作るように枕を一つ置いて。
「ノクサス様……どうしてここで寝ていたのですか? これでは夜這いですよ。騎士団のトップとあろう者が犯罪はいけません」
頑張って冷静に伝えた。
しかし、ノクサス様に動揺はない。
片膝を立て、私をジィーと見ていた。
その視線をやめて欲しい。
「犯罪ではないと思うが……恋人なら大丈夫だろうと思ったのだが」
「何度も言いますが、恋人ではありません」
この会話を何度したことか……話を聞いてないの!?
そう思わずには、いられない。
「ダリア」
「なんでしょうか?」
一体何と説明すれば恋人ではないと伝わるのか、とやけくそ交じりで返事をした。
「あの荷物はなんだ? 昨晩。あの後が気になって様子を見に来たのだが……荷物はまとめているし、ダリアは寝ているし……」
「寝ているからといって、人のベッドに入り込まないでください。こんな変なことする人はいませんよ」
「しかし……ダリアが俺を掴んで離さないからな。よく寝ていたから、起こすのは悪いと思って、そのまま一緒に寝たのだが……」
「枕かなにかと勘違いしただけだと思います! そもそも、寝ている女性に近づかないでくださいよ。いえ、勝手に部屋に入って来ないでください。私は、ナイトドレスで寝ていたんですよ!?」
「ダリア以外には近づかないが……」
そう言いながら、少し照れるように横を向いてしまった。
今さら照れないで欲しい。恥ずかしいのは私だ!
ノクサス様が何を考えているのか、本当にわからない。
「ダリア……あの荷物の説明をして欲しい」
困っている私に、また真顔でそう聞いてきた。
その質問にぎくりとしてしまう。
「今はノクサス様がベッドに侵入したことのほうが問題では?」
話を逸らそうと、そう言った。
この出来事も十分問題であるのは間違いないし!
「問題か? 俺は、ダリアが好きなのだが……」
「私は、ずっとお断りしているはずです」
「おかしいな……」
「おかしくありません!」
口元に手を当てて、ノクサス様は悩んでいた。
でも、結婚は出来ないと言っていたはずだし……それでも、正面を向いてそう言われると、ドキリとするものはある。
その間も、ノクサス様は荷物を見ている。
私が、ここから出ていく事を察しているのだろう。
それでも、私の口から聞きたいのかもしれない。
「……ノクサス様。昨晩のことは話せませんが、しばらくお暇をいただきたいのです。代わりの白魔法使いは、以前からしていた騎士団の白魔法使いにお願いしてください。どうか、お願いします」
ノクサス様に向かい、両手を揃えて頭を下げた。
こうでも言わないと、ノクサス様はきっと納得しない。
そんな感じがしていた。
ノクサス様は、目を見開き驚いていた。
そして、いつも通り、朝日が部屋に入り込み、それが朝の合図のように目を覚ます。
夕べは、荷造りをしていつもより少し遅くに眠りについた。
それでも、朝にはいつも通り目が覚めるなぁ、とゆっくりと瞼を開く。
そして、ギョッとした。
視界には、大きな手が転がっている。
心臓が止まりそうな程驚く。
腰の上にも大きな腕が乗せられている。
誰の手か分からずに、おそるおそる転がったまま後ろを振り向くと、ノクサス様が私を包み込むように眠っていた。
一体何故こんなことに!?
わけもわからずに感情のまま叫んだ。
「ノ、ノクサス様――――――!!」
その叫び声に気怠そうに、ノクサス様は目を閉じたまま返事をした。
「どうした? ……何かあったのか?」
「ありました!! ノクサス様です!!」
「俺がどうかしたか? それにしてもよく眠っていたな。疲れていたのか?」
そんなことはどうでもいい!
この状況に何の言い訳もする気がないのか、ノクサス様は落ち着いていた。
むしろ、背中に手を回して抱き寄せてきた。
「ノ、ノクサス様! とりあえず起きてください!」
「それはかまわないが……以前もこうして寝ていたか? よく眠れた」
「ありません!!」
赤くなる顔のまま、必死でノクサス様から離れようとした。
でも力では敵わない。記憶喪失中でもノクサス様の力はしっかりとしていた。
困る私に、やっと腕を緩めたかと思うと目の前で見つめられる。
「やはり、恋人だったのではないか?」
「違います! それはノクサス様の妄想です!!」
「おかしいな……」と真顔でノクサス様は言うけれど、おかしいのはノクサス様だ!
これでは、夜這いをされているのではないのか!? と頭の中が走っている感じだった。
ノクサス様の顔が見られずに、視線を落とすと薄いシャツの間から筋肉質な鎖骨が目の前にある。
どうしていいのかわからず、くらりと眩暈がしそうなまま、必死でノクサス様にお願いした。
「ノクサス様! 起きましょう!」
「ダリアは可愛いな……」
「違う! 起きて座ってください!!」
可愛いな、と髪に唇を埋めるように近づいてくる。
もう限界で、赤面したまま必死で叫んだ。
そして、2人で向かい合ってベッドの上に座る。
私とノクサス様の間には、境界線を作るように枕を一つ置いて。
「ノクサス様……どうしてここで寝ていたのですか? これでは夜這いですよ。騎士団のトップとあろう者が犯罪はいけません」
頑張って冷静に伝えた。
しかし、ノクサス様に動揺はない。
片膝を立て、私をジィーと見ていた。
その視線をやめて欲しい。
「犯罪ではないと思うが……恋人なら大丈夫だろうと思ったのだが」
「何度も言いますが、恋人ではありません」
この会話を何度したことか……話を聞いてないの!?
そう思わずには、いられない。
「ダリア」
「なんでしょうか?」
一体何と説明すれば恋人ではないと伝わるのか、とやけくそ交じりで返事をした。
「あの荷物はなんだ? 昨晩。あの後が気になって様子を見に来たのだが……荷物はまとめているし、ダリアは寝ているし……」
「寝ているからといって、人のベッドに入り込まないでください。こんな変なことする人はいませんよ」
「しかし……ダリアが俺を掴んで離さないからな。よく寝ていたから、起こすのは悪いと思って、そのまま一緒に寝たのだが……」
「枕かなにかと勘違いしただけだと思います! そもそも、寝ている女性に近づかないでくださいよ。いえ、勝手に部屋に入って来ないでください。私は、ナイトドレスで寝ていたんですよ!?」
「ダリア以外には近づかないが……」
そう言いながら、少し照れるように横を向いてしまった。
今さら照れないで欲しい。恥ずかしいのは私だ!
ノクサス様が何を考えているのか、本当にわからない。
「ダリア……あの荷物の説明をして欲しい」
困っている私に、また真顔でそう聞いてきた。
その質問にぎくりとしてしまう。
「今はノクサス様がベッドに侵入したことのほうが問題では?」
話を逸らそうと、そう言った。
この出来事も十分問題であるのは間違いないし!
「問題か? 俺は、ダリアが好きなのだが……」
「私は、ずっとお断りしているはずです」
「おかしいな……」
「おかしくありません!」
口元に手を当てて、ノクサス様は悩んでいた。
でも、結婚は出来ないと言っていたはずだし……それでも、正面を向いてそう言われると、ドキリとするものはある。
その間も、ノクサス様は荷物を見ている。
私が、ここから出ていく事を察しているのだろう。
それでも、私の口から聞きたいのかもしれない。
「……ノクサス様。昨晩のことは話せませんが、しばらくお暇をいただきたいのです。代わりの白魔法使いは、以前からしていた騎士団の白魔法使いにお願いしてください。どうか、お願いします」
ノクサス様に向かい、両手を揃えて頭を下げた。
こうでも言わないと、ノクサス様はきっと納得しない。
そんな感じがしていた。
ノクサス様は、目を見開き驚いていた。