英雄騎士様は呪われています。そして、記憶喪失中らしいです。溺愛の理由?記憶がないから誰にもわかりません。
朝から執務室で書類の束を片付けている。
戦争が終わり退団する騎士たちも多くいた。
戦争のために招集に応じた者は、もう在籍する理由がないから仕方ないと言えば仕方ない。引き留める理由もない。
戦争の慰安金や戦死した家族の年金にと、国は資金繰りに大変だろう。
だが、必要な金だ。そのための書類のサインを書きつめていた。
そして、書類を片付けながら一人の人間を待っていた。
ユージェル村を任せられていた隊長のマリスという男だ。
マリスは白魔法使いの一個部隊を任されていたらしく、ダリアのことをなにか知っていないかと思い、フェルに呼び出してもらっている。
しかし、飛び込んで来たのはロバートだった。
「ノクサス様! 失礼いたします!」
「お前はダリアの護衛についていたはずだぞ。ダリアはどうした?」
「ダリア様から、連絡を言いつかりました。すぐに騎士たちを連れてダリア様の屋敷に来て欲しい、とノクサス様に伝えるように言われまして……」
嫌な予感がした。思わず、声に力が入る。
「ダリアに何かあったのか!?」
「よくわかりませんが、一緒にいた男が、ダリア様に不審者の話をしたあとに飛び出していったそうで……」
ダリアを狙っていた男たちに見つかったのだと、何故か確信した。
そんなところに一人で行くなんて……!!
「すぐに騎士を集めろ! ダリアの屋敷に行くぞ!」
「はっ!!」
騎士隊を率いて、すぐに出発した。
先頭で走っている俺の後ろに、フェルにノインにロバートたちにと騎士隊を引き連れて、一目散にダリアの屋敷に向かっている。
また、ダリアに何かあれば……! 胸が有り得ないほどざわついている。
この胸騒ぎは、間違いではない。以前にダリアに何かあったことを、俺は知っているのだ。
記憶がないのに、そう思うほど確信していた。
そして、街道を駆け抜け、ダリアの住む村に着いた。それでも、止まることなくダリアの屋敷に向かった。
ダリアの屋敷は、村の外れにあり、周りは畑ばかりだ。
ひと気はない。屋敷が近づき、騎士たちに手を振り合図する。
「屋敷を囲め!! 誰一人逃がすな!!」
屋敷は異様な様子だった。
真っ白な霧に包まれており、建物すら見えない。
何故、この屋敷だけが霧に包まれているのか!
「ダリア! どこだ!? ダリア!!」
必死でダリアと叫び、馬から飛び降りて、迷うことなく霧の中に突入しようとした。
その時に一匹の真っ白な虎が飛び出して来た。
その真っ白な虎を見て、一緒に来たノインが驚愕する。
「精霊獣!? どうしてこんなところに!?」
ノインが精霊獣と言った真っ白な虎は、俺を睨んでいる。
おそらくだが……精霊獣をみるのは、これが初めてだった。
だが、俺を見据える水色の瞳には見覚えがあった。
「遅い!! 変態男め!! ダリア様にまた何かあればどうするんだ!!」
俺を『変態男』と呼ぶのは、この世に一匹だ!
「まさか、ミストか!?」
「だったらなんだ! ダリア様を早く助けろ!! 助けないなら、かみ殺してやる!!」
「ダリアは!? ダリアはどこだ!?」
「こっちだ!!」
何故デカいのかわからないがミストの案内で、霧の中に入った。
霧の中は、情けない男たちの泣きわめく声が聞こえる。
一体どうなっているのか……。
走るミストについて行くと、霧の中に納屋があった。薄暗い中で見えたものだったが、ますます胸がざわついた。
「キャァァーーーー!!」
そして、聞こえた悲鳴。頭の中でなにかが弾けた。
戦争が終わり退団する騎士たちも多くいた。
戦争のために招集に応じた者は、もう在籍する理由がないから仕方ないと言えば仕方ない。引き留める理由もない。
戦争の慰安金や戦死した家族の年金にと、国は資金繰りに大変だろう。
だが、必要な金だ。そのための書類のサインを書きつめていた。
そして、書類を片付けながら一人の人間を待っていた。
ユージェル村を任せられていた隊長のマリスという男だ。
マリスは白魔法使いの一個部隊を任されていたらしく、ダリアのことをなにか知っていないかと思い、フェルに呼び出してもらっている。
しかし、飛び込んで来たのはロバートだった。
「ノクサス様! 失礼いたします!」
「お前はダリアの護衛についていたはずだぞ。ダリアはどうした?」
「ダリア様から、連絡を言いつかりました。すぐに騎士たちを連れてダリア様の屋敷に来て欲しい、とノクサス様に伝えるように言われまして……」
嫌な予感がした。思わず、声に力が入る。
「ダリアに何かあったのか!?」
「よくわかりませんが、一緒にいた男が、ダリア様に不審者の話をしたあとに飛び出していったそうで……」
ダリアを狙っていた男たちに見つかったのだと、何故か確信した。
そんなところに一人で行くなんて……!!
「すぐに騎士を集めろ! ダリアの屋敷に行くぞ!」
「はっ!!」
騎士隊を率いて、すぐに出発した。
先頭で走っている俺の後ろに、フェルにノインにロバートたちにと騎士隊を引き連れて、一目散にダリアの屋敷に向かっている。
また、ダリアに何かあれば……! 胸が有り得ないほどざわついている。
この胸騒ぎは、間違いではない。以前にダリアに何かあったことを、俺は知っているのだ。
記憶がないのに、そう思うほど確信していた。
そして、街道を駆け抜け、ダリアの住む村に着いた。それでも、止まることなくダリアの屋敷に向かった。
ダリアの屋敷は、村の外れにあり、周りは畑ばかりだ。
ひと気はない。屋敷が近づき、騎士たちに手を振り合図する。
「屋敷を囲め!! 誰一人逃がすな!!」
屋敷は異様な様子だった。
真っ白な霧に包まれており、建物すら見えない。
何故、この屋敷だけが霧に包まれているのか!
「ダリア! どこだ!? ダリア!!」
必死でダリアと叫び、馬から飛び降りて、迷うことなく霧の中に突入しようとした。
その時に一匹の真っ白な虎が飛び出して来た。
その真っ白な虎を見て、一緒に来たノインが驚愕する。
「精霊獣!? どうしてこんなところに!?」
ノインが精霊獣と言った真っ白な虎は、俺を睨んでいる。
おそらくだが……精霊獣をみるのは、これが初めてだった。
だが、俺を見据える水色の瞳には見覚えがあった。
「遅い!! 変態男め!! ダリア様にまた何かあればどうするんだ!!」
俺を『変態男』と呼ぶのは、この世に一匹だ!
「まさか、ミストか!?」
「だったらなんだ! ダリア様を早く助けろ!! 助けないなら、かみ殺してやる!!」
「ダリアは!? ダリアはどこだ!?」
「こっちだ!!」
何故デカいのかわからないがミストの案内で、霧の中に入った。
霧の中は、情けない男たちの泣きわめく声が聞こえる。
一体どうなっているのか……。
走るミストについて行くと、霧の中に納屋があった。薄暗い中で見えたものだったが、ますます胸がざわついた。
「キャァァーーーー!!」
そして、聞こえた悲鳴。頭の中でなにかが弾けた。