最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
虐げられる側の生徒たちは、英国の閉鎖的な階級社会にうんざりしていたのだろう。

爵位も英国籍も持たない俺が学園のトップに立つことは、彼らに輝かしいアメリカンドリームを提供したようなものだ。いや、アメリカではないのだが……。

かくして無事寄宿学校を首席で卒業し、現地の名門大学に入学した俺は、経営学を学びMBAを取得。御子神家の家業を継ぎ、経済的な貢献と、スクールへの寄付という社会的貢献が評価され、騎士という名誉を授かった。

努力に裏打ちされた順風満帆な人生――ではあったのだが、一点だけどうにもならない陰りがある。

自分の周りを取り囲む女性たちの存在である。

パブリックスクールが完全なる男子校だったこともあり、卒業した俺は久しぶりに女性と交友を持つようになった。

いかがわしいものではなく、純粋な〝交友〟――のつもりだったのだが。

女性たちは自分と過ごした時間をなぜか逐一SNSに上げたり、周囲に報告をしたりと、奇怪な行動をするようになった。

複数人での食事も、さもふたりきりで蜜な時間を過ごしたかのように吹聴された。

ダリルいわく、マウンティングという行為らしい。なにがしたいのか、俺には理解しがたい。

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