最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
『私はもう充分に生きた。充分に幸せなんだもの。だから、志遠さえ幸せになってくれればもういいわ』
『俺は充分幸せだ』
『志遠に〝この人がいないと生きていけない〟って思わせるくらい素敵な女性が現れるといいんだけど……』
『……信用できる女性を見つけられるよう、せいぜいがんばるさ』
いつかは与えられた相手と結婚をすることになるだろう。とはいえ、それは形式的なものであり、母が言うような大恋愛は生涯ないと思っている。
すると、母はベッドの上で青白い顔をしながらクスクスと笑った。
『志遠はなんでも完璧に出来てしまうから、女性が必要だと考えることもないのね』
俺がもっと不完全な人間だったなら、女性が必要だと思えたのだろうか。
愛情に飢えていれば、愛を注いでくれる女性を選ぶだろうし、羨望がほしければ、見栄えのいい女性を連れ回そうとするだろう――なるほど、人間は自分に欠けているものを補完するためにパートナーを選ぶようだ。
だとすれば俺は誰もいらない。
『俺は充分幸せだ』
『志遠に〝この人がいないと生きていけない〟って思わせるくらい素敵な女性が現れるといいんだけど……』
『……信用できる女性を見つけられるよう、せいぜいがんばるさ』
いつかは与えられた相手と結婚をすることになるだろう。とはいえ、それは形式的なものであり、母が言うような大恋愛は生涯ないと思っている。
すると、母はベッドの上で青白い顔をしながらクスクスと笑った。
『志遠はなんでも完璧に出来てしまうから、女性が必要だと考えることもないのね』
俺がもっと不完全な人間だったなら、女性が必要だと思えたのだろうか。
愛情に飢えていれば、愛を注いでくれる女性を選ぶだろうし、羨望がほしければ、見栄えのいい女性を連れ回そうとするだろう――なるほど、人間は自分に欠けているものを補完するためにパートナーを選ぶようだ。
だとすれば俺は誰もいらない。