最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「そういえば、ダリルって志遠さんのことをものすごく尊敬していますよね。なんていうか……心酔みたいな」
「心酔、か」
言い方は悪いが的を得ていて苦笑する。実際、ダリルは異常なまでの熱量を俺に向けている。
「ダリルは男爵家の生まれだ。貴族階級で言えば一番下だな。とくに彼の実家の家業は経営難で、所有していた土地もほとんど売り払い、没落寸前といった状況だった」
俺は住所を確認しながら大通りを歩く。陽芽ははぐれないように俺のうしろにちょこんと寄り添ってついてきた。
「十四歳の頃、俺はダリルの実家との業務提携を父に提案した。諸費用や契約金を試算し、十年後には黒字に転換させるプランを作った」
「試算って……十四歳で、ですか?」
「さすがに父も驚いていた。俺が経営に興味を抱いたことがうれしかったんだろう、父はやってみろと言ってくれた」
子どもの提案を真に受けて億単位の投資をするとは、正気の沙汰ではない。
だが父は、たとえ黒字にならなくとも、俺に社会勉強をさせるために有益な投資になると判断したのだろう。
「結果八年で黒字にすることができた。ダリルの家も、今では経営が安定している」
「心酔、か」
言い方は悪いが的を得ていて苦笑する。実際、ダリルは異常なまでの熱量を俺に向けている。
「ダリルは男爵家の生まれだ。貴族階級で言えば一番下だな。とくに彼の実家の家業は経営難で、所有していた土地もほとんど売り払い、没落寸前といった状況だった」
俺は住所を確認しながら大通りを歩く。陽芽ははぐれないように俺のうしろにちょこんと寄り添ってついてきた。
「十四歳の頃、俺はダリルの実家との業務提携を父に提案した。諸費用や契約金を試算し、十年後には黒字に転換させるプランを作った」
「試算って……十四歳で、ですか?」
「さすがに父も驚いていた。俺が経営に興味を抱いたことがうれしかったんだろう、父はやってみろと言ってくれた」
子どもの提案を真に受けて億単位の投資をするとは、正気の沙汰ではない。
だが父は、たとえ黒字にならなくとも、俺に社会勉強をさせるために有益な投資になると判断したのだろう。
「結果八年で黒字にすることができた。ダリルの家も、今では経営が安定している」