最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
警察とのやり取りはすべて男性が肩代わりしてくれたので助かった。私は彼が通訳してくれる日本語に答えればいい。
「はい。菊宮陽芽。二十七歳。昨日イギリスに到着して、一週間観光する予定でした。住所は、東京都杉並区――」
彼が英語に訳してくれる。すごく流暢だ。日本語も完璧だから勝手に日本人だと思っていたけれど、もしかしたら英国で生まれた人なのかもしれない。
加えて、彼はすごく育ちがよさそう。スッと伸びた背筋や上品な仕草は、英国紳士のイメージそのものだ。
「バッグの中に入っていたものは?」
「お金と、クレジットカードとスマホ。それからパスポート。あとは――」
貴重品類をひと通り訳してもらうと、警察官はひょいっと肩をすくめた。かわいそうに、というような同情めいた眼差しをしている。
「連れや、世話になっている現地人はいないのか?」
「……はい。ひとりです」
「ツアーなどには参加していない?」
「はい」
私の返答に彼は顔をしかめる。英語もろくにできないのにひとり旅とは無謀だと思ったに違いないが、とくになにを言うわけでもなく警察官に説明する。
「はい。菊宮陽芽。二十七歳。昨日イギリスに到着して、一週間観光する予定でした。住所は、東京都杉並区――」
彼が英語に訳してくれる。すごく流暢だ。日本語も完璧だから勝手に日本人だと思っていたけれど、もしかしたら英国で生まれた人なのかもしれない。
加えて、彼はすごく育ちがよさそう。スッと伸びた背筋や上品な仕草は、英国紳士のイメージそのものだ。
「バッグの中に入っていたものは?」
「お金と、クレジットカードとスマホ。それからパスポート。あとは――」
貴重品類をひと通り訳してもらうと、警察官はひょいっと肩をすくめた。かわいそうに、というような同情めいた眼差しをしている。
「連れや、世話になっている現地人はいないのか?」
「……はい。ひとりです」
「ツアーなどには参加していない?」
「はい」
私の返答に彼は顔をしかめる。英語もろくにできないのにひとり旅とは無謀だと思ったに違いないが、とくになにを言うわけでもなく警察官に説明する。