最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「俺はイギリスだろうが日本だろうが、君のそばを離れるつもりはない」

「……はい?」

『離れるつもりはない』って、どういうことだろう? 言っていることの意味がよくわからない。

「君のそばにいることが、とても理に適っていることに気づいた。正直、今でも不本意ではあるが、認めざるを得ない……」

「ええと……志遠さん?」

そんな怖い顔をして、いったいなんのことを言っているの?

おずおずと前かがみになって覗き込むと、志遠さんは冷ややかな目で私を睨んだ。

「これまでの非礼を詫びたい。チワワ扱いしてすまなかった」

「あ、いえ、全然かまいませんけど」

「あらためて頼みたい。俺の……パートナーに……なってはくれないか」

「……は?」

頭の中が真っ白になる。パートナーとはなんだ。

普通に解釈すれば、『ビジネス的なパートナー』や『ごく近しい友人』、『恋人』にあたるのだろうが、私と彼が一緒にビジネスをすることは天地がひっくり返ってもあり得ないし、友人と呼べるほど対等な関係でもない。

かと言って、その冷ややかな眼差しは好意を持った異性に向けるものではないだろう。

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