最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
パートナーって他に意訳があっただろうか。もしかして、イギリス英語にはなにか特別なニュアンスが……?

「あの。私はいったいなにをすればいいのでしょう?」

志遠さんの顔色をうかがいつつ尋ねてみると。

「――『イエス』と。ただそう答えてくれればいい。そうすれば、俺は全力で君を守る」

真摯な眼差しを向けられ、息をのむ。なんとなくその言葉は信じられるような気がした。

わけもわからないまま、私はこくりとうなずき「はい」と答える。

すると志遠さんは私の左手を取り唇に運んで、薬指に優しくキスを落とした。

「俺は君とともに日本へ行く。……一緒になってくれ、陽芽」

んん……?

彼の言葉がうまく咀嚼できず、目をぱちぱちと瞬いて沈黙する。

一緒になってくれって……まるで結婚してほしいと言っているように聞こえるんだけれど……?

彼にとって、私は保護対象でありチワワだったはずじゃ。

……一応、先ほど訂正はしてもらえたものの、そう簡単に認識が変わるわけもないだろう。

「……あの。ひとつ伺ってもよろしいでしょうか」

私はおずおずと右手を上げ、彼に尋ねる。

「志遠さんは、私のことをどう思ってらっしゃるんでしょうか?」

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