最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
それがいつ恋に変わったのかまではよくわからないけれど、いつの間にか私の心には、彼を独占したいという強欲な気持ちが生まれていた。

「信じられない……」

「どうした?」

「本当に私でいいんですか? 志遠さんは英国王室から認められた立派な騎士様なんでしょう? エレノアさんの方がふさわしいんじゃ――」

「陽芽しか考えられない。俺が騎士なら、君は姫だ。君にすべてを捧げるのが俺の宿命だ」

これまで聞いたこともないような情熱的な台詞で私の心を焼く。

普段は冷静なくせに、ときにすごく感情的で、ときに子どものように直情的で――。

そんな一面を見せつけられるたびに、私の心はざわついて収集がつかなくなる。

「一昨日まで、ペットのチワワだって言っていたのに」

「その件については謝っただろう。それに、外見はチワワでも、中身は最高に素敵な女性だった。人間は表面的な価値では推し量れない――『美女と野獣』のようだな」

「私、野獣側……?」

唖然としてつぶやくと、彼が突然体を離し、私の頬に手を添えた。くいっと顎を持ち上げ、自身の唇に持っていく。

「言葉遊びはもうおしまいだ。あいにく、余裕がない」

焦れた口調でそう言い募ると、私の唇に自身のそれをそっと重ねた。

< 161 / 272 >

この作品をシェア

pagetop