最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
優しい感触が合わさって、温もりを生み出す。

「ん……」

温かくて、心地いい。

しかし、余韻に浸る間もなく激しく貪られ、余裕のなさとやらを見せつけられた。

「陽芽。俺に愛を注がせてくれ」

そう言って志遠さんは私の体を押し、ソファの上に転がした。倒れる寸前、彼の腕が私の後頭部に回り、受け止めるように抱いてくれる。

先を求めるような熱い視線。彼の体がおいかけてきて私と重なる。

ひと呼吸置いて唇を重ね、翻弄される間にガウンの肩が外された。

「イエスともノーとも言ってくれないのか?」

志遠さんが焦れた声で私を責め立てる。そうは言っても、返答の隙を与えてくれないのはそっちだ。

「このままだと、また流されるように男と付き合うことになるぞ」

「っ、流されてなんていません、私は――」

志遠さんのことを愛しているのだと思うから。

出会ってまだ一週間と経っていないのに、愛しているだなんておかしいのかもしれない。

けれど、彼からは抗いがたい引力のようなものを感じる。

彼の圧倒的な魅力から逃れることなんてできないのだろう。きっと運命なのだ。

彼も同じように私のことを思ってくれているに違いない。

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