最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「今はちゃんと、自分の意思で――」

彼のシャツの襟もとを捕まえて、自分の方へ引き寄せる。彼は意を汲んで、私にキスをくれた。

もう止められない――そう感じた私は、自らガウンを脱いでこの身を捧げる。

彼はキャミの裾をたくし上げ、私の素肌に指を這わせた。

「んぅっ……はぁ……」

彼の手が温かくて、でもくすぐったくて、反射的に身をよじる。

執拗に追いかけてくる彼の指先に翻弄されて、私は熱い息を吐き出した。変則的な吐息が漏れる。

「陽芽は男に抱かれるとき、そんな顔をするのか」

からかうような口調で志遠さんがささやく。恥ずかしくなって、無様に開いた口もとを隠した。

「隠さなくていい。出会った頃の俺の目が節穴だったんだ。君はどんな表情でも魅力的だ」

今さらそんなことを謝って、恥じる私の腕を払いのけ、口づけを落とす。

彼の唇がゆっくりと下がっていって、ぬるい感触が首筋を伝った。

「あっ――ダメ……」

つい漏れてしまう悲鳴。これ以上、なにも言わぬようにと手をかむが、その手も自由を奪われ指を絡められてしまう。

「陽芽。君の体に愛を誓いたい。許してくれるか?」

言葉の意味を理解して、こくりとうなずく。

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