最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「ここが、好きなのか?」

「――っ!」

もうダメ――ぶるぶると首を横に振ったにもかかわらず、彼は紳士らしからぬ声で私をさらに煽り昂ぶらせていく。

「や……やだ……」

「ベッドの中では、素直じゃないんだな。それとも本当に嫌なのか?」

尋ねる声はいじわるだ。私が拒む一方で、悦んでいることをわかっているのだろう。

「や……じゃ、ない」

なんとか勇気を振り絞って答えると、彼が目もとを緩めた。

指先を動かしながら唇を深く食み、残ったわずかな理性をそぎ落とそうとする。

「君の深くに触れることを、どうか許してくれ。陽芽の全部を手に入れたいんだ」

そう宣言し、彼は騎士らしからぬ獰猛な愛を私に注ぐ。

リビングのソファで激しく愛を確かめ合ったあと、彼は私を自身の寝室に運び込んだ。

夜の間中、幾度も私たちは体を重ね、情熱に溺れる。

騎士だったはずの彼は、私を抱いている間だけは獣じみた表情を見せ、雄々しい欲望をあらわにした。

何度も驚き、戸惑いながらも彼を受け入れる。こんなにも心も体も激しく求められたのは初めてだ。

彼の勢いにのまれる一方で、私は深い喜びも味わっていた。



< 166 / 272 >

この作品をシェア

pagetop