最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました

目が覚めると、閉じられたカーテンの隙間から日の光が差し込んでいた。

「目が覚めたか?」

声にドキリとして肩を震わせると、隣に眠っていたはずの志遠さんはすでに目覚めていて、こちらを見てくすくすと笑った。

「そんなにびくつかれるなんて、心外だ。昨夜はあんなに愛を誓い合ったのに」

「……その、あなたと一緒に朝を迎えるなんて、初めてだったから」

見れば彼の眼差しは昨夜のまま熱っぽく、まだまだ足りないと言わんばかりに獰猛だ。恥ずかしくなってうつむく。

「帰国させる前に君を俺のものにできてうれしかった。少しの間、離れ離れになるけれど、俺を待っていてくれ」

離れ離れ――彼の言葉に不安感が増していく。これから私たちの関係はどうなってしまうのだろう。

「あの、私たちは……」

尋ねようとすると、先回りした彼が私の額にキスを落とした。

「君を追いかける。すぐにとはいかないけれど、日本で生活ができるように仕事を調整するよ。そしたら――」

彼の腕が私の頭を引き寄せる。甘くて真剣な眼差しが目の前に迫った。

「一緒になろう。結婚してほしい」

< 167 / 272 >

この作品をシェア

pagetop