最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
わっと顔が熱くなり、頭から湯気が噴き出しそうになった。

慌てて彼から体を離すも、そんなリアクションは予想通りとでもいうように彼は笑みを浮かべている。

「君はすぐに赤くなってかわいい。頬も、唇も、それから――」

彼の目線が下に向かったので、私は咄嗟に毛布を抱きしめた。今、絶対にいやらしいことを思い出していた……!

「そんな顔をするな。愛する人を褒めちゃいけないのか?」

「今の、褒めてました? からかったの間違いじゃ――」

「からかうところなんてない。陽芽はすべてがかわいらしいから」

とんでもなく甘い台詞が飛び出してきて、ぎょっとしてしまう。

これが英国紳士流、愛のささやき方?

恋人を褒めて愛でて、とろっとろに蕩かすのが、彼の流儀なのだろうか。しかし――

「その細い首も、肩も、少し小ぶりな胸も愛らしい。かわいがればきっと、もっと大きくなるだろうから、次はさらに――」

暗に胸が小さいと言われたことに気づき、思わず私は目の前にあった枕を彼の顔面にぶつけた。彼は「ぶっ」と声を漏らして枕に顔をうずめる。

「それ以上言ったら、許しません……」

「……褒めているんだが」

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