最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
志遠さんは口をへの字に曲げる。でもすぐに立ち直り、私の上に覆いかぶさった。

「フライトまでまだ時間がある。もう一度、陽芽を愛してもいいか?」

「あ、朝からですか……! 夜中もたくさんしたのに」

「愛に時間は関係ないだろう。回数も。君が嫌なら耐えるが」

真剣な目で見つめられ、とても嫌とは言えなかった。

それに、もうすぐお別れだと言われると、彼のぬくもりが名残惜しく感じられる。

困ったことに、彼の術中にはまっている。

「今度は、どんなふうに愛してほしい? 激しく? それとも、甘く優しく?」

「……今度は、もうちょっと、ゆっくりがいい、です」

昨夜は性急で激しい、ジェットコースターのような交わり方をしてたから、次はもう少しゆっくり、ふたりの時間を楽しみたい。

「わかった。君のペースに合わせる」

そう言って、志遠さんは私の体を再びなで蕩かした。

結果、どうなったかというと。

焦れて、焦れて、私が早くと懇願するまで、彼はいじわるなほど私に快楽を与えてくれなかった。

〝して〟とお願いすると、今度は意識が飛びそうなくらい激しい熱を押し付けられて。

やっぱりジェットコースターじゃない。

どうしてこんな関係になってしまったのだろう。

現実が信じられなくて、まるで夢を見ているみたいだった。



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