最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
寂しい気もするけれど、便りがないのは無事な証拠というから――いや、それは親子の場合のみだろうか。恋人の場合は少し焦った方がいいのかな?

そんな小さな懸念を抱えつつ、診察室に入り検査をする。結果――

「妊娠四カ月に入ったところですね。問題なく成長していますよ」

先生からそんな診断を言い渡され、軽く眩暈がした。

「もう四カ月……ですか? まだ二カ月ちょっとしか経っていない気がするんですが」

「最終月経を起点にして数えますからね。前回の生理から十二週以上は経っているでしょう?」

たしかに、前回の生理から考えればもう三カ月――早くも十二週が経過していることになる。

「もうすぐ安定期ですから、それまで、体を大事にしてくださいね」

もう安定期!? 不安定な時期がなんの不安もないまま終わろうとしている。つわりのひとつも感じなかった。

早い、なんて早いんだろう赤ちゃんの成長。

それにしても、まさか本当に妊娠しているだなんて。志遠さんはなんて言うだろう。いきなり赤ちゃんができたと言われて、迷惑ではない?

喜んでくれたとして、間違いなく『どうして今まで気付かなかったんだ』というお小言が飛んでくる。

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