最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「産むかどうかは、陽芽が決めていい。俺は君が選んだ道を全力でサポートする」

なにを選んだとしてもついていく――そんな決意を見せつけられ、騒いでいた心がゆっくりと凪いでいった。

「……生みます。もちろん生みます。生まない理由はないから」

「そう言ってくれるんじゃないかと思っていた」

志遠さんは優しい笑みを浮かべると、私の頬に手を添え、そっと甘い口づけをくれる。

「今日抱くことができないと思うと、少し名残惜しいが。それから、土産の紅茶とチョコレートが渡せなくなってしまったな」

「えっ――」

「カフェインの摂り過ぎはよくないだろう?」

「……ちょっとくらい大丈夫なのでは」

「ダメだ。君はどんぶり勘定だから、少しくらい少しくらいと言っている間にきっと許容量をオーバーしている」

つん、と額を突いて叱られる。

相変わらず志遠さんは過保護で、まるで彼の方がお母さんみたいだ。



別れの時間はすぐにやってきた。もともとタイトなスケジュールだったようで、これからイギリスにとんぼ返りするのだとか。

「今日、陽芽に会えて本当によかった」

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