最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「今では君に、運命さえ感じる」

初めて女性を手に入れたいと思った。ともに歩んでいくべき人だと直感した。

それは神聖で穢れなき情愛――のはずだが。

「いや。運命と呼ぶには崇高すぎるか」

もっと俗的でシンプルなものなのかもしれない。

どんなに社会に貢献しても、名誉ある称号を授かっても、彼女の前では欲に溺れるひとりの男にしかすぎないのだと思い知った。

「今の俺は紳士でも騎士でもなく、ただ君を貪ろうとする獣だ」

毛布の下にそっと手を差し入れ、艶やかな肌に指先を滑らせその感触を確かめる。

眠りを浅くした彼女が「ん……ぅ……」と苦しそうに、だがどこか心地よさそうに呻きを上げた。

「早く起きてくれ、陽芽(ひめ)。耐えられない」

安らかな眠りを妨げる俺は、悪魔のようだ。

「君を大切にしたい。だが――」

どうしても我慢がならない。朝が来れば、君と俺は離れ離れになってしまう。

それを思うと、一秒でも長くこの細い体に愛を刻みたい。

「陽芽」

深く口づけを施すと、さすがの彼女も眠りから覚め、ゆっくりと瞼を開けた。

「……! 志遠(しおん)さん……」

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