最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
ダリルは優秀だ。高学歴であることはもちろん、頭の回転が速く機転が利く。大学では法学を学んでいたこともあり法律的な知識も豊富だ。

仕事の相談相手にもなるし、雑用を頼んだとしても二〇〇パーセントの結果で返してくれる。

ちなみに、ロンドンにタウンハウスを作りたいと漏らしたところ、一月後には家具付きであの三階建ての家が用意されていた。あのときは本当に助かった。

そもそもダリルは、実家を継ぐべく育てられた身。俺の秘書に収まるなど、ご両親はさぞ憤慨していることだろう。

「俺はシオンの役に立つことが生きがいなんです」

「学生時代の恩なんか、もう充分返してもらった」

実家を救ってもらったからと、彼は病的なまでに俺を信奉し、ついてきてくれる。

俺が雇ってくれなきゃどこにも属さずその日暮らしで気ままに生きると、ある種脅しのように言われたから、そこまで言うならばと雇ったものの、そろそろ本来の場所に戻るべき頃合いだろう。

「俺は役に立ちませんか?」

「とんでもなく役に立っているよ。だからこそ、いい加減飼い殺しなどせず、手放してやるべきだ」

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