最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「貴族への復讐のために俺を貴族にしようとするのは、どう考えても間違っているだろう……」

爵位という権威を嫌うと同時に、執着もしている。どうにかその呪縛を解けないものかと思案した。



それからダリルとはたびたび音信不通になった。

なにをしているのかと問うと『就職活動』『実家への挨拶』などと返されてしまい、深く問い詰めることもできない。

結局彼は、俺の個人秘書を辞め、実家に戻って後を継ぐと切り出してきた。

俺はこれまでの感謝を告げ、今後も最大限のサポートをすると約束し、彼を送り出した。



十二月も終わりに近づき、クリスマスがやってきた。

ロンドンのクリスマスは賑やかで、日本以上に活気に満ちている。夜が長いこともあるだろう、光り輝く装飾で街が美しく飾り立てられる。

華やかなクリスマスマーケットをいつか陽芽にも見せてやりたい。きっと亡くなったご両親も、この行事を楽しんでいただろう。

クリスマス当日には、豪華なクリスマスディナーを作ってやってくれと頼子さんに頼んでおいた。

晴はまだ離乳食だが、とろとろに煮たホウレンソウの緑やにんじんの赤、豆腐の白を使ってかわいいクリスマスツリーご飯を作ってくれたそうだ。

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