最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
陽芽とはその日の夜にビデオ通話をしたが、少々疲れたような顔をしていた。

早く日本に戻って伝えなければ。これから先、俺はずっと君のそばにいると。

晴はちょうど眠ってしまったところで、かわいらしい寝顔を見ることができた。

枕元にはおもちゃと絵本を置いてくれるそうだ。来年のクリスマスは、俺にプレゼントを置かせてほしい。

そして帰国の日、日本に着いた俺は、まず母の墓参りに向かった。

墓前に百合の花を供えて手を合わせ、結婚と、早くも息子が生まれたという報告をする。

「……なにもほしがらない女性を選べと、あなたは言った」

墓に向かって俺は語りかける。

「なぜそんなことを言ったのか、今ならわかる」

生暖かい風がすっと頬をなでる。十二月にしてはよく晴れて温かい日だ。

だが、それ以上に、その風にはぬくもりが宿っていた。

「運命の女性を見つけた。息子も授かった。安心して眠ってくれ」

目を閉じて深く祈ると、瞼の奥に笑った母の顔が見えた気がした。



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