最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
***
志遠さんが帰国する前日の十二月二十九日。午後三時にダリルは迎えに来ると言った。
頼子さんには少し遠出の買い物をお願いして、その時間に鉢合わせないよう手を打ってある。
ダリルの言葉に従うか、今も悩み続けていて、まだ結論を出せたとは言えない。
私たちが姿を消したなんて知ったら、志遠さんはショックを受けるだろう。頼子さんだって、自分を責めるに違いない。
こんなことをしても、悲しい結果にしかならない……。
たとえ志遠さんと別れるにしても、きちんと顔を合わせてお互いが納得すべきではないか――答えが出せないまま、タイムリミットを迎える。
十五時、ドアフォンのチャイムが鳴った。ダリルはスーツを纏い、門の前に立っている。彼のうしろには黒い高級車が見えた。
私は門を解錠し、晴を抱いて玄関へと向かう。
「ヒメ、お迎えにあがりましたよ」
しかし、私が外出する準備を整えていないのを見て、ひくりと目もとを引きつらせた。
「少しは俺の言ったこと、考えてくれました?」
「考えました。ずっとずっと考えて、やはり納得できなくて……」
「ヒメもシオンに似て、強情だなぁ」
ダリルはふうと短く息をついて、冷ややかに笑う。
私はぎゅっと晴を抱きしめて、底知れない怖ろしい笑みに立ち向かった。
志遠さんが帰国する前日の十二月二十九日。午後三時にダリルは迎えに来ると言った。
頼子さんには少し遠出の買い物をお願いして、その時間に鉢合わせないよう手を打ってある。
ダリルの言葉に従うか、今も悩み続けていて、まだ結論を出せたとは言えない。
私たちが姿を消したなんて知ったら、志遠さんはショックを受けるだろう。頼子さんだって、自分を責めるに違いない。
こんなことをしても、悲しい結果にしかならない……。
たとえ志遠さんと別れるにしても、きちんと顔を合わせてお互いが納得すべきではないか――答えが出せないまま、タイムリミットを迎える。
十五時、ドアフォンのチャイムが鳴った。ダリルはスーツを纏い、門の前に立っている。彼のうしろには黒い高級車が見えた。
私は門を解錠し、晴を抱いて玄関へと向かう。
「ヒメ、お迎えにあがりましたよ」
しかし、私が外出する準備を整えていないのを見て、ひくりと目もとを引きつらせた。
「少しは俺の言ったこと、考えてくれました?」
「考えました。ずっとずっと考えて、やはり納得できなくて……」
「ヒメもシオンに似て、強情だなぁ」
ダリルはふうと短く息をついて、冷ややかに笑う。
私はぎゅっと晴を抱きしめて、底知れない怖ろしい笑みに立ち向かった。