最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「もともと俺たちは、一度しか体を重ねたことがなかったからな」

「え、いや、待ってください。その一度の中で何回したか……」

志遠さんはニッと笑みを浮かべる。

私のルームウェアの前を開きながら、胸もとにつうっと人さし指を滑らせた。

「思い出させる――って言いたいが、忘れているならそれでいい。また最初から始めるだけだ」

「残念だけど、忘れてません。全部、よく覚えてます……」

志遠さんの体の重さ、官能的な指使い、熱い体温に、赤い舌を出して捕食しようとするちょっといじわるな仕草、芳しい汗の香りに、感極まったときに発するなまめかしい声、私を覗き込む情熱的な瞳――。

全部記憶に新しくて、恥ずかしくて、愛おしくて、困ってしまう。

「俺も全部覚えている」

志遠さんの指先が少しだけ左にずれ、胸の柔らかな膨らみをつんとつつく。

思わず「っ……!」と吐息を漏らすと、彼は恍惚の眼差しで私を見つめた。

「ここに触れると、そういう顔をすることも、覚えている」

指先に少しだけ力を加え、柔い肉に潜らせる。くすぐるように胸の上で踊らせて、不意に人さし指の先だけ脆い秘所にあてた。

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