最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
志遠さんは私の瞼の上にちゅっとキスを落とし、目を閉じるように促す。

しかし、視界が塞がれると余計に感度が増し、少し肌が擦れただけで悲鳴をあげてしまいそうだ。

「……陽芽。俺がどうして君を選んだのか、いつか伝えたいと思っていた」

なぜ私を選んでくれたのか。こんなにとびきり素敵な男性が、どうして平凡な私を愛したのか。

聞きたい。とても気になる。けれど今は――。

「話を聞く余裕が、ないかもしれません……」

涙目で訴えると、志遠さんはくすりと笑って「そうだろうな」と目もとを緩めた。

「じゃあ話の続きは、君が眠りについたあとに語ることにする」

「や……ちゃんと起きているときに、教えてください……」

「俺を受け入れてもまだ起きていられたら、教えてやる」

そう言って彼は指先を足の付け根に持っていき、私の体を解きほぐすようになでた。

「や、ぁあっ――」

背中が引きつったように跳ね上がる。まだこれは彼を受け入れるための準備作業に過ぎないというのに。

彼がいざ愛を施すと、この何十倍もの激しい衝撃に見舞われて、意識すらたもてなくなってしまうだろう。

「あっ……志、遠さ――ひゃんっ!」

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