最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「ああ。仕事の関係でメディアに顔を出す機会が多いんだ。なぜか知らないがファンがついた」

『なぜか知らない』って。ぎょっとして私は志遠さんを覗き見る。

誰がどう考えたってわかるでしょう。シンプルに超絶イケメンなんですけど。

本当になぜだかわからないって顔してる――モテるって自覚がないみたいだ。

志遠さんは駆けつけてきた職員と英語で数言交わす。職員は「どうぞこちらへ」と私にもわかるように日本語を使って別室へと案内してくれた。

立派な客室に招かれ、大きな革のソファに志遠さんと並んで座る。おそらく、一般人は立ち入れない部屋。職員が差し出してきた書類に記入し、処理が終わるの待つ。

この待遇はおそらく、いや確実に、志遠さんの恩恵を受けている。本当に彼と出会えたのは幸運だった。

しばらくすると別の職員に連れられパンツスーツ姿の美女がやってきた。

彼女は持っていたファイルを志遠さんに手渡し、志遠さんはそのままファイルを私の胸もとに差し出す。意味がわからず、私はキョトンと目を瞬いた。

「これは?」

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