最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「早々にご対応いただけたこと、感謝申し上げます」

「どうかお力になれればよいのですが。御子神様、もしよろしければ菊宮様を我々のゲストとしてお世話させていただいても?」

ぎょっとした展開になり私は志遠さんを見上げた。

どうしよう、お世話されるべきなのだろうか。志遠さんにお金を借りるのも申し訳ないけれど、大使館のゲストというのも仰々しくて心苦しい。

志遠さんは一瞬憎らしげな目で私を睨んだ後、大使に向けてにっこりと笑顔を作った。

「それには及びません。彼女は私の友人です」

「では、なにかあれば遠慮なくお申し付けください」

私たちは大使が部屋を出て行くのを立ったまま見送る。ふたりきりになった途端、私は力が抜けてへなへなとソファに座り込んだ。

「すみません……なんだか志遠さんが私の面倒を見る流れになってしまって」

「よく言う。助けてくれって目で私に訴えていたくせに」

あきれた様子で言い放ち、志遠さんはどっしりとソファに腰をすえる。

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