最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
次の一着はアシンメトリーなレースワンピだ。色はクリーム色とすみれ色がグラデーションになっていて華やかながらも上品。

先ほど試着した大人っぽいドレスより、自分向きではあるのだけれど、かなりのミニ丈で恥ずかしい。

私がスカートを押さえながらもじもじしていると、ドアの前で待ちかまえていた彼は腕を組んだまま「ほう」と唸った。

「陽芽は脚が綺麗だな」

私はポカンと口を開けてフリーズした。今、褒められたの? それともまたなにかの嫌み?

複雑な顔をしていると「なんだその奇怪な表情は。綺麗だと言っているのだから喜んだらどうだ」と叱られた。どうやら素直に受け取ってもいいらしい。

ちなみに、今の衝撃でミニ丈の羞恥心はどこかへ吹き飛んだ。

「足もとも選ぶといい。いくつかスタッフに見繕ってもらった」

気がつけばとびきり高いヒールのパンプスが並んでいた。まともに歩ける自信がない。

「私……あまり高いヒールは……」

「エスコートしてやるから安心しろ。俺の腕にしがみついていればいい」

「そういう問題ですか?」

私がパンプスを選んでいると、身なりのいい男性が近づいてきて、志遠さんに向かって深々と頭を下げた。

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