最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
彼――ダリルはプレートをダイニングに運んでくれる。
比較的悪天候の多い十月頭のロンドンだが、この日は雲間から陽が差し込んでいる。
窓の多いダイニングは光をめいっぱい取り込み、明るく気持ちがよかった。
「今、ミルクティーを作ってきます。俺、朝はミルクティー派なんで」
ダリルがいそいそとキッチンに戻っていく。
「あの、私も手伝います!」
慌てて追いかけようとしたが、「ヒメは食べててください!」と声を上げられ、ぴたりと足を止めた。
ごく普通にヒメと呼ばれた……。きっと志遠さんが私のことを陽芽と呼んでいたからだろう。
まぁ、イギリスの人は名字よりも名前で呼ぶ方が主流のようだから、こういうものだと思った方がいい。ここには『ヒメ』を『姫』とからかう人もいない。
なんにせよ、せっかく朝食を作ってくれたわけだし、温かいうちに食べさせてもらおう。
私は「じゃあ、いただきます!」と声をかけてダイニングへと戻る。
ダリルはキッチンで背中を向けながら「Tuck in!」と元気よく答えた。
木製のアンティークチェアに腰掛け、私は食事をいただく。塩味の効いたカリカリベーコンに食欲をそそられる。
比較的悪天候の多い十月頭のロンドンだが、この日は雲間から陽が差し込んでいる。
窓の多いダイニングは光をめいっぱい取り込み、明るく気持ちがよかった。
「今、ミルクティーを作ってきます。俺、朝はミルクティー派なんで」
ダリルがいそいそとキッチンに戻っていく。
「あの、私も手伝います!」
慌てて追いかけようとしたが、「ヒメは食べててください!」と声を上げられ、ぴたりと足を止めた。
ごく普通にヒメと呼ばれた……。きっと志遠さんが私のことを陽芽と呼んでいたからだろう。
まぁ、イギリスの人は名字よりも名前で呼ぶ方が主流のようだから、こういうものだと思った方がいい。ここには『ヒメ』を『姫』とからかう人もいない。
なんにせよ、せっかく朝食を作ってくれたわけだし、温かいうちに食べさせてもらおう。
私は「じゃあ、いただきます!」と声をかけてダイニングへと戻る。
ダリルはキッチンで背中を向けながら「Tuck in!」と元気よく答えた。
木製のアンティークチェアに腰掛け、私は食事をいただく。塩味の効いたカリカリベーコンに食欲をそそられる。