最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました

当時は詳しい事情など教えてもらえなかったが、祖父はたったひと言、『なにがあっても上を向いていろ』とだけ言い置き、俺をあの悪魔の巣窟へと送り込んだ。

冷遇されることはわかっていたのだろう。英国貴族が成り上がりの日本人を歓迎するとは思えない。

それどころか、古い世代の人間からしてみれば、第二次世界大戦で戦った忌まわしき敵国の人間。

そんな偏見を持った祖父、祖母を身内に持つ子どもたちが、俺と手を取り合って学園生活を送ろうと考えるわけがない。

だがそれ以上に俺を悩ませたのは、イギリスにおける後見人――ガーディアンの存在だ。

現地の人間ではない俺には、ガーディアンがいることが必須だった。引き受けてくれたのは、アルフォード伯爵家のアーサー。俺の学力を高く買ってくれたらしい。

とんでもない大物の名前が挙がり、プレッシャーに押しつぶされる日々。彼に恥をかかせまいと、必死に勉強をした。

そのかいあって、ほぼすべての学科で学年首位を修めた俺は、伯爵家のバックアップもあり、学園内で確固たる地位を築くことができた。

幅を利かせる貴族たちを黙らせた功績か、気がつけば熱狂的な信奉者に囲まれていた。