迷彩服の恋人
最終任務*災害派遣と恋の行方

*災害派遣

駐屯地祭を楽しんでから、半月が経った7月下旬――。

私は、将太くんからヒントをもらって作り始めた【保存食用カレー】の材料やパッケージデザインなどを熟考する日々を過ごしていた。

そう、これは【新商品開発コンペ】に出す案だ。

チーム内では、朝香先輩が反対していたものの…残りの男性3人は「保存食か、面白いかも。」と乗ってきてくれた。
もちろん、経緯(いきさつ)を知る主任はニッコリと…南課長も「良いところに目を付けたかもしれないね!」とOKをくれた。

「でも、まさか〝もっちゃん〟まで結花に似てくるなんて〜。保存食なんて、ほんとに採算取れんの?」

「まだ言いますか?先輩。心配しないで下さい、会社に大損害が出たら…責任取って辞めるので。」

ここ最近ではわりと恒例化している朝香先輩の嫌味をかわしつつ、午前の業務を終え…私は結花先輩とともに社食のランチへ向かう。

「桧原、望月。一緒にいいか?」

2人でお互いの近況報告しながら食べていると…南課長がやってきて私達に微笑んでそう告げた。

「あっ、南課長。どうぞ。」

「ここ最近タイミングあったら聞こうと思ってたんだけど…望月、自信ついたのか?…ここのところ、以前にも増して仕事意欲あるし、朝香や花村に言い返してるし…何かあったかな?と思って。」

「そうですか?私は変わっていないと思っていますけど…。」

ヴー、ヴー。

[――南の海上に、台風5号発生。現在、東寄りに進路を取りなから北上中。来週末は小笠原諸島と関東で警戒が必要。今後の情報に注意。]

「あっ。」

「…ん?どうした?2人とも。」

「今、スマホに台風情報が入ってきたので。」

「あー。天気といえば桧原だったな。彼氏に会えなくなるんだったか…。」

「そうですね。」

志貴さんの話は…営業内では有名だ。

そんな風に話をしながら3人がそれぞれ箸を進めていき、午後の業務へと移っていくのだった。



【望月さん、こんばんは。
お盆休み、どこかでは絶対取れるんですけど…
今日、台風が発生した影響で前もっての
お約束ができなくなりました。すみません。】

いつもどおり、22時前後に土岐さんから連絡が入る。

「駐屯地祭の後、3回は会えてるんだから気にしなくていいのに…。」

土岐さんとはこの半月…週1ペースで食事に行っている。
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