迷彩服の恋人
第二任務*まさかの再会
――〝通りすがりの男性〟に助けてもらってからの1週間は、家で過ごした。
最初の2日間は有給扱いで、残りの3日はテレワーク業務だった。
「あっ!おはようございます、“結花先輩”。1週間ほどご迷惑をお掛けしてすみませんでした。」
「都ちゃん!おはよう。そっか、今日から復帰か。…大変だったね。いいのよ。結局、後半の3日間もテレワークで働いてくれたんだし。」
この人は“桧原 結花”さん。
私より3歳上の先輩で、現在は営業の主任であり…私を指導してくれた人だ。
「そういえば、在宅ワーク中に言ってた"あの話"詳しく…。今日のランチは私とだからね。」
「あれ以上話すこと無いですって!第一、相手の名前も分からないんですよ?」
先輩には、"見知らぬ彼に助けられた話"は共有済みだ。
「も〜!何で聞いておかないかな…。それに相手も相手よ。いくら急いでても名乗るでしょ、普通。」
「でも、相当急がれてましたから…。」
「〝名乗らぬ王子様〟っていうのは想定外だったけど、都ちゃんにも春到来かもね。」
「そんなんじゃないですよ、たぶん…。」
「まぁ、ゆっくり見極めるといいわ。〝恋〟か、そうじゃないかを…。そうそう、恋といえば….“栗原”と“花村”がまた合コンの話題に入ってきたわ。まぁ、橋本さんに頼み込まれたのを彼女達に聞かれたのがまずかったんだけど…。しかも“巴”まで入ってきて…ほんとに面倒よ。」
「やるんですか?合コン。… っていうか、そんなことしてて先輩の〝彼氏さん〟怒らないんですか?」
「やんなきゃいけないでしょう?橋本さんと“巴”に頼まれたら。あの2人、好み"難しい"し…。怒るも何も…今まであの2人に紹介した人…〝彼〟のツテだし。〝彼氏の知り合い〟も出会いが無いみたいで『紹介してくれ!』って言ってくるし…。」
「まぁ、確かに。橋本さんと“朝香先輩”…【制服フェチ】ですもんね。えっ、そうだったんですか!ますます気になりますね。結花先輩の〝彼氏さん〟がどんな人か。…それで?お2人の〝お眼鏡にかないそうな人〟…います?」