アゲハ蝶は、クローバーを一人占めしたい
「ちなみに、今日のあの女達も……」

「え!?ま、まさか!!」

「いらないよね?この世に」

「そんな……」

「受け入れてね、四葉。
僕を愛してくれてるんでしょ?
それとも、僕と別れたい?」

「……………鳳雅くんは、知ってるの?」

「ん?文人のこと?
━━━━━━━もちろん、知ってる。
だから鳳雅は、四葉を決して諦めない。
四葉が、本当の僕の傍にいてくれるなら……それ程の“覚悟”があるなら、諦めることが出きるって言ってた。
……………ねぇ…鳳雅を、諦めさせてあげてよ!
それで、僕に“幸せ”をちょうだい……!」


鳳雅からの連絡があり、エントランスに向かう揚羽と四葉。
しっかり指を絡めて手を繋ぎ、揚羽は優しく愛おしそうに四葉を見ていた。

エントランスのソファに座り、鳳雅が待っていた。

「おかえり」
「ん。じゃあね、四葉」
四葉の頭を優しく撫で言った、揚羽。

「……………揚羽くん、鳳雅くん」
「ん?」
「何?」

「私はやっぱり、揚羽くんが好き」

「四葉…」
「フフ…嬉しい」

「でもね。
揚羽くんが、怖い……!
もし“今”どちらかを選べって言われたら、鳳雅くんを選ぶと思う。
凄く勝手なことだけど、私の本心はそうなの」

「「うん」」

「揚羽くん、後二年…
後二年で、ちゃんと覚悟を決めるから。
待っててほしい」

「わかってるよ」
「四葉、大丈夫だ。
俺達は、そのつもりだから」

「鳳雅くん」
「ん?」
「私は、この二年で揚羽くんの奥さんになる為の準備をする。
でも、鳳雅くんに待っててって言えない。
ただでさえ、勝手なこと言ってるのに、これ以上勝手なこと言えないから。
鳳雅くんがその間に私との婚約破棄して構わないからね」

「……………わかった。
四葉。お前が二年後揚羽の傍にいるってなら、俺が都筑組を継いでやる」

「え?」

「で、僕が早瀬ホールディングスに就職する」

「それなら、四葉の両親も納得するだろ?」

「そんなこと、できるの?」

「できるよ」

「でも、四葉がちゃんと覚悟を決めなければ、俺は都筑組を継がないから。
そうなると、揚羽しかいない。
わかるよな?
四葉の覚悟次第だから!
俺だって、四葉が誰よりも好きだ。
だから簡単に諦められない」


「わかった!
あ、そうだ!
揚羽くん、私も教えてあげるよ」
「ん?」
「覚悟を決める準備」
「あー、何?」


「鳳のメンバーの人達に、今私、会ってるの」
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