アゲハ蝶は、クローバーを一人占めしたい
変わり行く関係と、苦しい日々
鳳雅家族との旅行後、わずか一ヶ月━━━━━
「都筑のご当主がお亡くなりになったそうです」
三島の第一声。
これが、揚羽・四葉・鳳雅の関係を変化させるきっかけとなろうとしていた━━━━━━
「そうなると、揚羽は若頭に本格的に近づくな」
朝食中の九重家。
四門がボソッと言った。
“じぃちゃんが死んだ場合、揚羽は早々に都筑組に入ることになってしまう。
そうなると、俺と揚羽の計画も崩れる”
都筑家に向かう四葉と両親。
都筑組の組長の通夜。
故人が蝶矢なだけあって、弔問客が多い。
四葉達が乗った車が門の前に止まる。
組員が後部座席を開ける。
四葉が降りようとすると、組員が手を差しのべてきた。
「え?あ……」
何といっても、ヤクザ。
四葉は躊躇してしまう。
「四葉に、触るな」
四門が乗っていた助手席から出て、組員に声を荒らげた。
組員は静かに後ろに退いた。
「四葉、おいで?」
それを確認した四門が、手を差し出した。
その手を掴み、車を降りた四葉だった。
組員が多い、通夜。
四葉は、そのまま四門にしがみついた。
そして四葉の反対側に葉月が立ち、三人は屋敷に向かった。
「記帳してくる。そこで待ってて」
四門が記帳に向かう。
今度は、葉月にしがみついた。
「四葉、大丈夫よ」
「うん…」
記帳後中に入ると、毅蝶、琥蝶、弥子、揚羽、鳳雅がいた。
揚羽と鳳雅が、小さく四葉に手を振った。
四葉も小さく手を振り返す。
それだけで四葉は、少し心が落ち着いていた。
「まさか、四門が来るなんてな」
「そこまで腐ってない」
「四門、ありがとう。
葉月、四葉も」
「どうか、お気を落とさずに……」
「毅蝶おじ様、琥蝶おじ様、おば様。
揚羽くん、鳳雅くん……
ごめんなさい、何て言ったらいいか……」
「四葉。オヤジは永くなかったから、覚悟はできていた。だから大丈夫だ。
それよりも“揚羽”を頼むな!」
毅蝶の視線が真っ直ぐ四葉をとらえる。
「毅蝶!
言ったはずだ!四葉は“鳳雅”の婚約者だと」
四門が、毅蝶を睨み付け声を荒らげる。
「それは、四葉が決めることだろ?
お前はまだ、恵実のことを引きずってるんだな」
四門の鋭い視線に全く動じることなく、毅蝶は冷静に答えた。
「は?」
「俺を選んだのは、恵実自身だろ?
それに俺だって、本気で恵実を愛していた」
「でも毅蝶の傍にいなければ……ヤクザの女にならなければ、今頃幸せだったはずだ」
恵実は四門の妹のような存在で、四門は可愛がっていたのだ。
「そんなの、わからない」
毅蝶は、四門から目をそらさず言い切った。
重苦しく、冷たくなっていく空間。
四門と毅蝶の鋭い支線が、恐ろしくぶつかっていた。
「都筑のご当主がお亡くなりになったそうです」
三島の第一声。
これが、揚羽・四葉・鳳雅の関係を変化させるきっかけとなろうとしていた━━━━━━
「そうなると、揚羽は若頭に本格的に近づくな」
朝食中の九重家。
四門がボソッと言った。
“じぃちゃんが死んだ場合、揚羽は早々に都筑組に入ることになってしまう。
そうなると、俺と揚羽の計画も崩れる”
都筑家に向かう四葉と両親。
都筑組の組長の通夜。
故人が蝶矢なだけあって、弔問客が多い。
四葉達が乗った車が門の前に止まる。
組員が後部座席を開ける。
四葉が降りようとすると、組員が手を差しのべてきた。
「え?あ……」
何といっても、ヤクザ。
四葉は躊躇してしまう。
「四葉に、触るな」
四門が乗っていた助手席から出て、組員に声を荒らげた。
組員は静かに後ろに退いた。
「四葉、おいで?」
それを確認した四門が、手を差し出した。
その手を掴み、車を降りた四葉だった。
組員が多い、通夜。
四葉は、そのまま四門にしがみついた。
そして四葉の反対側に葉月が立ち、三人は屋敷に向かった。
「記帳してくる。そこで待ってて」
四門が記帳に向かう。
今度は、葉月にしがみついた。
「四葉、大丈夫よ」
「うん…」
記帳後中に入ると、毅蝶、琥蝶、弥子、揚羽、鳳雅がいた。
揚羽と鳳雅が、小さく四葉に手を振った。
四葉も小さく手を振り返す。
それだけで四葉は、少し心が落ち着いていた。
「まさか、四門が来るなんてな」
「そこまで腐ってない」
「四門、ありがとう。
葉月、四葉も」
「どうか、お気を落とさずに……」
「毅蝶おじ様、琥蝶おじ様、おば様。
揚羽くん、鳳雅くん……
ごめんなさい、何て言ったらいいか……」
「四葉。オヤジは永くなかったから、覚悟はできていた。だから大丈夫だ。
それよりも“揚羽”を頼むな!」
毅蝶の視線が真っ直ぐ四葉をとらえる。
「毅蝶!
言ったはずだ!四葉は“鳳雅”の婚約者だと」
四門が、毅蝶を睨み付け声を荒らげる。
「それは、四葉が決めることだろ?
お前はまだ、恵実のことを引きずってるんだな」
四門の鋭い視線に全く動じることなく、毅蝶は冷静に答えた。
「は?」
「俺を選んだのは、恵実自身だろ?
それに俺だって、本気で恵実を愛していた」
「でも毅蝶の傍にいなければ……ヤクザの女にならなければ、今頃幸せだったはずだ」
恵実は四門の妹のような存在で、四門は可愛がっていたのだ。
「そんなの、わからない」
毅蝶は、四門から目をそらさず言い切った。
重苦しく、冷たくなっていく空間。
四門と毅蝶の鋭い支線が、恐ろしくぶつかっていた。