アゲハ蝶は、クローバーを一人占めしたい
次の日。
鳳雅は、いつものように四葉を九重邸に迎えに向かう。
インターフォンを鳴らす前に、一旦気合いを入れる。
「よし!」
まずは四葉の心を癒すことに徹し、少しずつ俺自身を見てもらおう、と━━━━━━━
原内が出てきて、四葉を連れてきた。
「鳳雅くん!おはよ!」
「………」
四葉はびっくりする程に元気で、満面の笑みで挨拶をしてきたのだ。
鳳雅は、あまりの驚愕で言葉がでない。
「鳳雅くん?どうしたの?」
「え?あ、いや…」
「早く行こ!
お母様、原内さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい、四葉」
「行ってらっしゃいませ。
……………あの、鳳雅様」
原内が鳳雅を呼び止めた。
「ん?」
「どうか……四葉お嬢様を、よろしくお願いします!」
原内の強い視線。
鳳雅は、ゆっくり頷き四葉を追ったのだった。
行きの車内で、ずっと四葉は喋り続けていた。
「━━━━でね。今度ここ行こ?
パンケーキが美味しいんだって!」
「あ、あぁ…」
「鳳のみんなとでもいいよ!
だいぶ慣れてきたし、鳳雅くんがいてくれるなら大丈夫だから!」
「そうだな」
「あ!みんな、甘いもの嫌いかな?
じゃあ、千歌ちゃん誘おうかなー」
「四葉」
「ん?」
「揚羽のことだけど━━━━」
「その話はしたくない」
「四葉?」
「考えないようにしてるの。
だから、鳳雅くんも聞かないで」
「………わかった」
四葉はそれからも毎日元気で、いつも笑っていた。
でも━━━━━━
ずっと………目が死んでいた。
鳳雅はそんな四葉を、見ていられなかった。
カラ元気と、壊れそうな笑顔、死んだ目……そして四葉の話す一言一言が“助けて”と言ってるように聞こえる。
そして鳳雅が見ていられないのは、揚羽のこともだ。
元々から、冷たく淡々とした揚羽。
ワガママで自己中心的な、揚羽。
恐ろしく、残忍な揚羽。
揚羽も死んだように目が据わり、毅蝶の言葉しか受け入れなくなり“情”がなくなっていた。
組員でさえ恐ろしくて、誰も揚羽に意見ができない程に━━━━━━
でもふと見ると、揚羽は縁側に佇み空を見上げている。
その時ばかりは、今にも壊れそうなくらい脆い。
そして四葉とのペアネックレスを握りしめているのだ。
鳳雅が望んでいたモノとは、大きくかけ離れていた。
鳳雅は、いつものように四葉を九重邸に迎えに向かう。
インターフォンを鳴らす前に、一旦気合いを入れる。
「よし!」
まずは四葉の心を癒すことに徹し、少しずつ俺自身を見てもらおう、と━━━━━━━
原内が出てきて、四葉を連れてきた。
「鳳雅くん!おはよ!」
「………」
四葉はびっくりする程に元気で、満面の笑みで挨拶をしてきたのだ。
鳳雅は、あまりの驚愕で言葉がでない。
「鳳雅くん?どうしたの?」
「え?あ、いや…」
「早く行こ!
お母様、原内さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい、四葉」
「行ってらっしゃいませ。
……………あの、鳳雅様」
原内が鳳雅を呼び止めた。
「ん?」
「どうか……四葉お嬢様を、よろしくお願いします!」
原内の強い視線。
鳳雅は、ゆっくり頷き四葉を追ったのだった。
行きの車内で、ずっと四葉は喋り続けていた。
「━━━━でね。今度ここ行こ?
パンケーキが美味しいんだって!」
「あ、あぁ…」
「鳳のみんなとでもいいよ!
だいぶ慣れてきたし、鳳雅くんがいてくれるなら大丈夫だから!」
「そうだな」
「あ!みんな、甘いもの嫌いかな?
じゃあ、千歌ちゃん誘おうかなー」
「四葉」
「ん?」
「揚羽のことだけど━━━━」
「その話はしたくない」
「四葉?」
「考えないようにしてるの。
だから、鳳雅くんも聞かないで」
「………わかった」
四葉はそれからも毎日元気で、いつも笑っていた。
でも━━━━━━
ずっと………目が死んでいた。
鳳雅はそんな四葉を、見ていられなかった。
カラ元気と、壊れそうな笑顔、死んだ目……そして四葉の話す一言一言が“助けて”と言ってるように聞こえる。
そして鳳雅が見ていられないのは、揚羽のこともだ。
元々から、冷たく淡々とした揚羽。
ワガママで自己中心的な、揚羽。
恐ろしく、残忍な揚羽。
揚羽も死んだように目が据わり、毅蝶の言葉しか受け入れなくなり“情”がなくなっていた。
組員でさえ恐ろしくて、誰も揚羽に意見ができない程に━━━━━━
でもふと見ると、揚羽は縁側に佇み空を見上げている。
その時ばかりは、今にも壊れそうなくらい脆い。
そして四葉とのペアネックレスを握りしめているのだ。
鳳雅が望んでいたモノとは、大きくかけ離れていた。